2-1 変化に対して心を開く

変化を乗り越えていくことは、決して楽ではありませんし、痛みが伴います。たとえそれが、心踊るワクワクするような変化であったとしても、私たちに何かを“手放すこと”や難しい選択を要求します。この章では、変化を経験していく過程であなたが必ず通る心の動きのフェーズについてご紹介します。これにより変化においてどんなことが自分自身に起きるのか、予測できるようになります。

ライフサイクルを通しての変化

あなたの人生にはいくつもの予測することができる変化があります。この世に生まれた後、幼少期や青年期・思春期を経て、大人になっていきます。そして、就職し、恋人ができ、家族ができ、仕事を通じて成長し、子供を育て、両親を看取り、キャリアの転換があり、引退の日を迎えます。

ところが、私たちの親世代の頃に比べて、今日、私たちの生活はより複雑で、予測不可能になっています。私たちの多くは私生活においても仕事においても、たくさんの迷いや混乱を経験しています。たとえば、グローバル社会において今世紀の労働者は、生涯4つか5つの異なるキャリアを持つだろうと言われています。欧米では定年退職するまで同じ会社に勤めている人はほとんどいません。日本でも経団連の中西会長が2019年5月7日の定例会見で終身雇用を前提にすることは限界になっていると述べた通り、人材の流動化が今後ますます顕著になってくるでしょう。採用と大学教育の未来に関する産学協議会では「Socitety 5.0人材育成分科会」の中で、今後求められる人材像と教育のあり方が議論されています。私たちは学校教育の中だけではなく、継続的に生涯にわたって学習することが求められているのです。

仕事を変えるということは、あなたに学ぶことや新たな方向性に対しオープンであることを求めます。そしてどのように新しいことを始め、古いことに別れを告げるかを知ることでもあります。これらの始まりや終わりを、できるだけ混乱やストレスなくナビゲートできるようになることが、この章のねらいです。

人生は予測可能な変化であふれています – 仕事の変化、人間関係の変化、住環境の変化、死、誕生、など。

予測する
あなたが現在人生のどこにいるかをベースに、近い将来あなたが経験するであろう変化について考えてみましょう。それはどのような変化ですか?

変化に対しどのように反応してきましたか?

これまでにあなたが経験した主な出来事– 良かったことも、悪かったことも – を思い返してみましょう。その中から1つの出来事を選び、以下の質問に答えてください。

・これから先、大きな変化がくることを、どのようにして気づきましたか?

・その変化に対して、どのように備えましたか?

・あなたが直面した最も強い恐れや困難は何でしたか?

・これらの恐れや困難をどのようにして乗り越えましたか?

・変化を乗り越える際に、どんな思いを抱いたり、どんな行動をしましたか?

・変化をマネージするために、あなたが学ぶ必要があったのはどんなことでしたか?