3-5 リミティング・ビリーフを再考する5つの方法

私たちの信念は、若い頃に周りの人に言われたことから作られます。あなたが分別のある大人に成長するにつれ、他人の見方の代わりに自身の信念や見方に置き換える機会が訪れます。信念を変えるには、物事の見方を変えたり、信念を再考したりすることが求められます。以下はあなたの信念を変えるためのツールです。


1. 責任を取る

行動の原点になる:「こんなことが私の身に起きている」ではなく「私がこれをやっている」―何ができないかではなく、自分にできることに目を向けましょう。

2. 試してみる

物事を試してみましょう。あなたの信念を支えるものは何か、自分に尋ねてください。それは常に真実ですか?それとも時と場合によりますか?あなたが思う否定的な結果が実際に起こるかどうかを見てみましょう。

3. 宣言を作る

新しく、肯定的で、広がりのある信念を選びます。リミテイング・ビリーフとは反対のことを想像し、言葉にしてみてください。繰り返し宣言を自分に言い聞かせてみましょう。

4. 肯定的なイメージを思い浮かべて練習する

あなたのビジョンをイメージトレーニングすることによって、望ましい結果を作り出しましょう。自分自身が望むことをやっている自分、望ましい結果を手にしている自分を思い描きます。  

5. 見方を変える

状況を違った視点で見てみます。チャレンジと機会を見つけましょう。限界を超えて思いを巡らせましょう。

リミティング・ビリーフからエンパワメント・ビリーフへ変える

  • あなたが自分自身について抱いているリミティング・ビリーフを一つ思い浮かべてください。
  • 以下のツールの中から1つ選んで、あなた自身に関するリミティング・ビリーフをエンパワメント・ビリーフへとシフトさせてみましょう。

1. 責任を取る

2. 試してみる

3. 宣言を作る

4. 肯定的なイメージを思い浮かべて練習する 

5. 見方を変える 

まだしっくりこなくても、新たなエンパワメント・ビリーフを書き留めておいてください。

自分が成長している姿を思い描き、視野を広げてみましょう。気持ちは後からついてくるものです。

3-4 「予言の自己成就」を効果的に使う

あなたの内なる姿勢や信念、期待値は変化をうまくマネージしていくうえで重要です。ターザンスイングから学んだように、人が変化を乗り越えようとする時、わくわくするような可能性と大失敗の恐ろしさの間を行ったり来たりするものです。これは「予言の自己成就」と呼ばれます: あなたが意識を向けるものが、あなたの思考や行動を指図する傾向があるのです。

リミティング・ビリーフ(思い込み・固定観念)

無力感と絶望感を生む悲観的思考は、リミティング・ビリーフと呼ばれます。このような思考は人が何かを始めようとするよりも先に、それをあきらめようとさせます。変化に向き合う際の例として、以下のようなリミティング・ビリーフが挙げられます:

私にはできない
私には変えることができない
誰も気にしない
私は習得できない
この先ますます悪くなるだろう
十分な資金やリソースがない
会社が変わるわけがない

リミティング・ビリーフは人が新しい方法を試したり、リスクを取ったりすることを邪魔するので、特に変化に向き合う際には致命的になり得ます。あなたが手にしたいものを、リミティング・ビリーフは確実に手にできないようにします。リミティング・ビリーフの罠にかかった人は、変化の被害者となってしまいます。そのような人たちは新しいやり方にオープンであり続けることを学んでこなかったので、取り残されてしまうのです。

エンパワメント・ビリーフ(可能性を引き出す思考)

リミティング・ビリーフの対局にあるのは、ポジティブな光で未来を照らす、エンパワメント・ビリーフです。変化に向き合う際の例として、以下のようなエンパワメント・ビリーフが挙げられます:

私ならできる
もっと良い方法がいつだってあるはずだ
必ず解決策がある
変化は当然
これまでうまくやれた、今もうまくやれる
私には変われる力がある

変化の中に新しい可能性を見出そうとする人は、新たなやり方を探したり、新たなスキルを求めたりします。

あなたのリミティング・ビリーフにはどのようなものがありますか?

あなたの信念を変える最初のステップは、変化に対するあなたのリミティング・ビリーフにどのようなものがあるかを見てみることです。自分自身について、あなたの職場について、あなたが経験している変化について、それぞれどのようなリミティング・ビリーフがあるかを考えてみてください。

自分自身について:

職場について:

経験している変化について:

あなたのリミティング・ビリーフをながめ、これらの信念が何の役に立つのか、自分に尋ねてみましょう。よくある答えは、リミティング・ビリーフはあなたを安全な場所に留める、というものです。新たなことを試さないので、失敗するリスクはありませんが、欲しいものも手に入らないでしょう。

リミティング・ビリーフをエンパワメント ・ビリーフに置き換える

あなたのリミテイング・ビリーフを見直してください。これらをどのようにしたらエンパワメント・ビリーフに置き換えられますか?例えば、もしあなたが「私にはできない」と書いたとしたら、エンパワメント・ビリーフは、「私には学ぶことができる」と書き換えることができます。

肯定的な信念を通して、あなたはより力強い感覚を持ち始めることができるでしょう。

3-3 古い期待値を書き換える

変化は今までの期待値や計画が崩れ去ることを意味します。このような“邪魔者”は敬遠されるのが普通です。人は習慣や一定のパターンを心地よいと感じ、元来変化を嫌うものなのです。

あなたが好む従来のパターンにはどのようなものがありますか?

多くの人はこれまでのやり方が変わったことを嘆いたり(「前のマネージャーはこんなことはしないだろう」)、あるいは古いものと新しいものを比べる(「前のやり方の方がずっとよかった、これは馬鹿みたいだ」)ことに貴重なエネルギーを使ってしまいます。そうではなく、どのようにして新しいことに取り組むかに集中する方が、ずっと為になります。

過ぎ去ることに上手に別れを告げる

大きなトランジションを経験している間に、幾度となく、あなたは古い期待値にしがみついている自分自身や、慣れ親しんだものにうまく別れを告げられずに動揺している自分自身がいることに気づくでしょう。そんな時は、失ったことの悲しみを受け入れ、古い期待値を手放し、動き出すのです。

新たなやり方は、これまでのものと比較して、正しいか間違っているか、あるいは良いか悪いかなどと見なされるべきではありません。それらは単に新しいだけで、学んだり、練習したり、その利点を判断する必要があるだけなのです。多くの場合、変化が起きた時点ではどのようにして物事が決まったのか、どうして新しいやり方でやるのか、あるいはあなたが変化に慣れた時にどう感じるか、などについてよく分からないことが多く、変化を公正に評価することは難しいものです。

変化の最中に、物事が“普通”に戻ることはありません。なぜなら戻るべき“普通”など存在しないからです。もし戻ろうとするなら新たなスキルを学ぶために使える貴重な時間を無駄にするだけでしょう。決して“十分”な時間などありません。あなたの時間をどうぞ無駄にしないでください。

3-2 自分の内側にポジティブなムードを創り出す

変化を経験している時には、あなたが元々持っているにも関わらず、まだ気づいてない内なる可能性を引き出すことを学んでください。これは自分自身を見つめ、自分のことを有能で価値があり、きっとうまくできると捉えることです。

“態度”がその人の力(パーソナルパワー)にどのように影響するかの例として、ある人が変化の犠牲者として振る舞った状況や、別のある人がチェンジマスターとして肯定的な態度と行動を示した状況を考えてみてください。

自尊心を大切にする

変化をマネジメントするうえで重要なのはあなた自身です。肯定的な態度は自尊心や自分を大切にする気持ちから生まれます。

あなたは自分のことをどのように扱っていますか。自分に期待しすぎているでしょうか?  ある人は悲観的になり、ネガティブなセルフトークに陥っています。 - 自分の能力に疑問を投げかけたり、自分がこれまでに成し遂げたことは忘れてしまっています。「もし〜だったら」や「〜していれば」などと考えることは、何の助けにもなりません。

あなたが変化の只中にいる時は、自分ができることを棚卸ししてみることが重要です。あなたの強みや成し遂げたことをきちんと認めることを忘れないでください。あなたの能力のギャップについて思案している時ではありません。

その代わりにあなたの強みを思い起こします。あなたの能力を継続的に高める計画を立ててください。そしてあなたが成し遂げたことに対して、自分自身を褒めてください。誰かが認めてくれるのを待つことはやめましょう。なぜなら変化の最中では、人の注意や関心は散漫になっているからです。

前向きに将来に向き合う

職場での変化に対して、変化から自分を守るためにあらゆることをしなければならないと感じる人たちがいます。そういった人たちは、変化が物事を悪化させると決めてかかり、防衛的な態度をとります。もちろんあなたは現在の状況を作り上げるのにかなりの投資をしてきました。しかし、今後あなたの変化に対する対処の如何によって、新しい可能性を開くことができるのです。 これは混乱と挑戦なしには叶いません。

変化はネガティブなものだと決めつけることによって、重要な選択肢を手元から失わないようにしましょう。

変化にどのようにアプローチするかによっては、その存在にすら気づかなかった喜ばしいチャンスを手に入れることができるのです。

自分の強みを活かす

あなたの強み、スキル、リソースを棚卸しする時間を取ってください。
専門的な資質、経験、業績だけでなく、個人的なものも含めてください。

強み: あなたが依って立つもの

スキル/能力: 時を重ねてあなたが築き上げてきたもの

リソース: コミュニティ、家族、個人的なもの

書き出したものの中から1つか2つを選んで丸をつけ、それらがあなたの強みとなるためにこれまでに何をしてきたのか、振り返ってみましょう。

3-1 チャレンジを追い求める状況を創り出す

変化を乗り越えていく人は喜んでチャレンジを受け入れます。事実、そのような人々は度々チャレンジを求めるのです。彼らは現在の仕事に甘んじることなくあらゆる機会を探し、成長の機会を見つけようとします。この“セルフチャレンジ”の力は新たなスキルを身につける、新たな人たちと出会う、そして新たなリソース(情報源)を見つけるための継続的な機会を提供してくれます。

状況が変化している時、あなたがマネージする必要のある最も重要な領域は自分自身です。あなたは組織、家族、そして人生で起きる変化に対して、たとえコントロールできることが限られていたとしても、自分自身や自分の力:パーソナルパワーはいつもある程度コントロールすることができるのです。どのように反応するか、何をするか、何を考え、感じ取るかはコントロールすることができます。

変化を通して自分自身をマネージすることは、トラジションカーブを乗り越えるためにあなた自身の持てる力をフルに活用して、あなたの内側にエネルギーを作り出すことなのです。

チャレンジへと踏み出すことを可能にする基本は、自分に求められることはできるようになる、という信念です。自分がすべきことを成し遂げられるという“自己肯定感”は、変化を起こす強力なステップであることがこれまでに明らかになってきました。

自分の内側にポジティブなムードを創り出す

心理学者のアルバート・バンデューラは自己肯定感について、次のように記しています:

自己肯定感が高ければ高いほど、人は自分に課す目標が高くなり目標に対するコミットメントが強くなります。自己肯定感が低い人は困難に直面すると努力をしても無駄だと容易に納得してしまいます。彼らはすぐにあきらめてしまいます。自己肯定感の高い人たちは障害があっても自らのセルフマネジメントスキルを高め、忍耐強く努力することによって克服できると考えています。彼らは困難に直面してもなお、目標を見失わないのです。

この10年の間に、変化に対してどのようにうまく備えるべきかにフォーカスした数々のアプローチやセオリーが生まれました。これらの認知行動的なセオリーは次のような基本的な考え方に基づいています:

  1. 自分自身をどう見るか、環境をどう捉えるかが重要である
  2. 目標を設定し、目標に近づき、目標を見直すことができるという内なる自信が重要である
  3. 一人でやるだけではなく、関わりの中で社会的支援を得ようとする気持ちや実際にそうすることが重要である