4-4 パーソナルパワーを高める:リスクゾーンに入る

人があきらめや不毛な努力に陥ってしまう1つの理由は、役割を手放す、新たなスキルを学ぶ、あるいは難しい意思決定をするといった新たなことに手をつけたり、リスクをとることに懸念があるからです。リスクを取ることは居心地が悪いものですが、人が成長するうえでの唯一の方法なのです。

リスクを取る

うまくいくかどうかわからないことを試す時、あなたはリスクを取ります。成功するチェンジマスターはあきらめや不毛な努力をやめ、頻繁にリスクを取るようにします。

あなたが直面している変化について考えてください。リスクゾーンに入るためにはどんなことができますか?

変化をマネージするとは、成果を得られるかどうかが不確実な状況、何が大切なのかがはっきりしない状況、そしてあなたの力が限られている状況で行動を起こすということです。

逆境から立ち直る

誰もがある時点において、痛み、不公平感、敗北そして最悪な時に直面しなければなりません。しかし成功するチェンジマスターは自分を奮い立たせ、再びスタートさせることができます。一方変化の犠牲者は傷つき、挫折してしまいます。自分のことを価値のない人間だと捉えてしまうのです。

困難と変化の時に、逆境に心を囚われてはいけません。今日の失敗は明日の成功のチャンスとすることができるのです。歴史上の最も偉大な人たちは、逆境から学び立ち直ることによって、彼らの偉大さを証明してきました。

自分の意識と行動を“マスタリー”に移すこと:“手放す”ことはしばしばリスクを取ることや目新しさや不確かさを感じることをするよう求めます。また、他者からのコーチングによる支援を受けて実践することを求めます。

自分の意識と行動を“マスタリー”に移すこと:“手放す”ことはしばしばリスクを取ることや目新しさや不確かさを感じることをするよう求めます。また、他者からのコーチングによる支援を受けて実践することを求めます。リスクを取ることは不確実な結果や、恥をかくことに加え、他者の期待を破ったり、居心地を悪くさせる可能性があることを意味するのです。

4-3 パーソナルパワーにエネルギーを集中する

パーソナル・パワー・グリッドSMが明らかにしているように、チェンジマスターになるには、自分が影響を与えられることやコントロールできる領域にエネルギーと注意を集中させることです。グリッドのそれぞれの象限を見直してみましょう:


  • “マスタリー”は、あなたがコントロールできることに対して起こす行動です
  • “不毛な努力”は、あなたがコントロールできないことをなんとかしようとすることです: 空回りし、達成感を感じることなく時間を浪費します
  • “あきらめる”は、自分がコントロールできるかもしれないことについて行動を起こさず、まるで無力のように振る舞い、犠牲者のように感じることです
  • “手放す”は、自分のコントロールが及ばないことにじたばたせず、自分を責めたり腹をたてないことです。手放すことによって身体的な開放感と安らぎが得られます。

マサチューセッツ大学のロバート・カラセック博士によって、厳しい要求が突きつけられる状況において、自分たちの“コントロール” (選択、関与、参加)のレベルが低いことが最も苦痛であることが明らかにされています。

変化とは、快適なパターンを壊し、常に要求が増えていくものですが、要求から逃れることがゴールではありません。自分の選択肢を積極的に練る方法やオプションを探すことにより、自分自身を衝撃から「守る」ことが最善の策なのです。

 

4-2 行動をパーソナル・パワー・グリッドにマッピングする

コントロールできないことや影響を与えることしかできない領域に多くのエネルギーを費やしていると、フラストレーション、疲労、怒りにつながる可能性があります。

パーソナル・パワー・グリッドSM は変化している状況においてあなたの注意をどこに向けるかを考えるためのツールです。

注意を向ける4つの象限とその特徴は以下の通りです。


マスタリー: あなたがコントロールできることに対して行動を起こすことは、自身の気持ちを高め、内なる力を感じるのに役立ちます。充足感が高まります。

不毛な努力: あなたがコントロールできないことに対して逆らい、無駄な抵抗を続けていると結果としてフラストレーションや怒りを感じます。

あきらめる: あなたがコントロールできることに対して何も行動を起こさないでいると、無力感と絶望感を感じ、あきらめにつながります。

手放す: あなたがコントロールできないことに対して執着せずに手放すことは、解放感につながります。

パーソナル・パワー・グリッドSM

4-1 積極的な行動を引き出す

チェンジマスターは変化に積極的に取り組むことで、パーソナルパワーを高めていきます。変化のプロセスの中で自分ができることを探し、アクションを起こします。行き詰ったり、イライラしたりしても、何もできないとあきらめたりはしません。情報のすべてが手元にない時でも、何か他のことをしようとします。

変化を通じて自分自身をマネージする

状況が変化している時、あなたがマネージする必要のある最も重要な領域は自分自身です。あなたは組織や、家族、そして人生で起きる変化に対して、たとえコントロールできることが限られていたとしても、自分自身やパーソナルパワーはいつもある程度コントロールすることができるのです。どのように反応するか、何をするか、何を考え、感じ取るかはコントロールすることができます。機会が来るのを待つことなく、自ら探し、創り出したりするのです。機会を見つけて行動することは、尻込みしたり、何もしないでいたりするよりも成功を生む可能性が高いのです。

変化を通して自分自身をマネージすることは、トラジションカーブを乗り越えるためにあなた自身の持てる力をフルに活用して、あなたの内側にエネルギーを作り出すことなのです。

行動することで、新たなエネルギーの源と可能性を見つけることができるでしょう。以降で、変化の中で行動を起こし、あなたのパーソナルパワーを高める方法をご紹介します。

パーソナルパワーを高める

変化の中では、人はコントロール不能で、無力であり、どうすることもできないと感じることがよくあります。時には自分のことを犠牲者と見ることもあります。それは自分がコントロールできないことに注意を向けてしまうからです。

ところが、チェンジマスターは違います。自分が行動して変化を起こせる確実な領域に注力します。ほとんどの人は、よりパワフルに感じる選択肢を与えられたら、それを選ぶでしょう。しかし、チェンジマスターが持つパーソナルパワーとは、すべてにおいてパワフルなわけではありません。そのパーソナルパワーは他の人に何かをさせるものではありません。自分の目標に向けて、自分自身を動かす力なのです。それは自らの能力を活かす内面的な経験です。

できないことやあなたの限界に目を向けると、疲労やうんざりした気持ち、そしてフラストレーションを助長します。非現実的な期待 ― たとえばあまりにも短い期間で新しいやり方を取り入れるよう期待すること ― はあなたの負担を重くします。自分がコントロールできることに集中し、目標を達成するために行動することから、パーソナルパワーは生まれます。もちろんうまくいかないこともありますが、失敗を誰かのせいにすることではありません。

変化を乗り越えてパーソナルパワーを高める:

  • 自分自身の身体面、感情面、精神面に気をつける。変化を受け入れやすいポジティブな内部環境を作る
  • 新たな状況に対処する戦略を作る

 

あなたがコントロールできることは何か?

どのような変化においても、どこに着目するかの選択肢は常にあります。最初のステップは、あなたがコントロールできることは何で、できないことは何かを見極めることです。また、あなたが影響を与えることができる領域があることも覚えておいてください。あなたがコントロールできることとできないことを明らかにしておきましょう。

あなたが直面している状況や変化とは何ですか?

その状況や変化において、あなたがコントロールできる事柄は何でしょうか

あなたが影響を与えられる可能性がある事柄は何ですか(可能な選択肢をあげる上で役立つ情報を集めることも影響の1つの形であることを忘れないでください)

あなたがコントロールできないことは何ですか?たとえば年齢、性別、人種、家族の背景など