組織変革のソートリーダー、シンシア D.スコット博士との対談を通して
〜ワンアソシエイツがTransion Curve™に着目する理由〜

早勢弘一とシンシア D.スコット博士

“変革”を成功させたいなら、
人の心の“変化”に着目し、寄り添う必要があります

「組織変革」という言葉を聞かない日はないほど、多くの企業が変革に向けた何らかの取り組みをしています。変革のビジョンを掲げ、何をどう変えるかといった戦略を提示してもなお、振り返ると思うように人がついてこない、変わらないという声をよく聞きます。人の行動がなかなか変わらないのは、気持ちが伴わないからであることが多いのです。
ワンアソシエイツはこの点に着目し、組織変革のソートリーダーである シンシア D. スコット博士との提携により、人と組織の変化対応力を高めるプログラムをご提供します。
スコット博士は変化に直面した時の人の心の動き”Transition Curve™”の提唱者です。一人ひとりが変化を乗り越え、変化を適切にマネジメントできるよう、この”Transition Curve™”を経る支援を提供することを通して、数々の企業の変革推進に貢献してきました。

人が変革を乗り越えていくのにどのくらいの期間がかかるのか?

それは混乱の度合い、変革の進み具合に対してサポートがどのぐらいあるか、統制がどの程度取れているか、変革そのものがどの程度の大きさであるかによります。
心理的な不安や恐れの段階に留まる期間が長くなればなるほど問題は顕在化してきます。変革が起きることへの事前の周知や情報提供を徹底することで、人は早く適応できるようになるものです。

シンシア D.スコット博士
シンシア D. スコット, Ph.D., M.P.H.  ワンアソシエイツ顧問
前職でSaatchi & Saatchiの副社長を務めた後、ChangeWorks Labを創設。以来、組織コンサルタント、著者、エグゼクティブコーチとして、25年以上にわたり、数々の組織変革をリードしてきた経験を持つ。大規模な組織変革に関するプロジェクトの設計、開発、実行およびリーダーシップ開発に造詣が深く、GoogleやBank of America, IBM, Deloitte & Touche, Internal Revenue Service等、名だたる企業や政府機関を顧客として活躍してきたソートリーダー。現在Sustainability ManagementのMBA・MPAコースで世界有数の大学院の一つであるPresidio Graduate SchoolのLeadership for Sustainable Management で教授職にある。


対談

早勢:
変化に直面した時に人がたどる心のTransition Curve™という発想はユニークですが、スコット博士のどのような経験からこのTransition Curve™は生まれたのですか?
スコット博士:
それはあるクライアントから西部地区の事業整理や組織再編にあたり人事支援策の仕事の依頼を受けた時のことです。
これには何千人もの従業員の異動、職務の変更、そして解雇が伴いました。
マネジメントは現場のリーダーや従業員自身がこの変革を乗り越えていくことができるようなプログラムを実施したいと望んでいました。
そこで私たちはキューブラー・ロスの5段階モデル(死の受容モデル)を参考にしました。5段階とは否認、怒り、取り引き、抑うつ、受容です。
Transition Curve™はこのモデルを組織変革に適応させたものです。
私たちは変革を推進する幾つかのワークグループから彼らが経験している心理面の変化についてヒアリングをしました。そこで健全な適応の結果として見られた探求とコミットメントの段階を反映させたモデルとして構築しました。
Transition Curve™
早勢:
Denial「拒絶」からResistance「抵抗」、Exploration「探求」そしてCommitment「やる気」へとたどっていく中で、人にもよるとは思いますが一番難しいシフトはどの部分でしょうか
スコット博士:
それぞれの段階には特有の難しさがあります。「拒絶」の段階を経るには新しい現実、変化が起きていることを直視する必要がありますし、「抵抗」の段階を経るには、被害者意識や他者を非難したりすることを止め、起きている現実に対して自身が責任を持って対処することが必要です。「探求」の段階では混乱が起きることや不確実性を許容することが求められ、「やる気」の段階については新しい状況を受け入れ、新たに求められる行動様式やチームの価値観が作られていく過程での混乱に直面していかなければなりません。
早勢:
人は一般的に防衛本能が働き、変わりつつある現実に対峙すると自分がどんどんネガティブになっていくことが嫌で、さも何事もなかったかのようにこのTransition Curve™をさーっと表面的になぞっていくケースも多いように思いますがいかがでしょうか
スコット博士:
特に抵抗や探求の段階をスキップすることはよく起こります。喪失感や混乱、変革に対する苦悩を経験する段階です。
このような感情が何もなかったかのようにやる気の段階へ行った場合に、人は次の変化に立ち向かう際に必要な内なる精神的な強さや、悲しみを乗り越えたことからくる思いやりが培われていません。
スキップすることで頭の中ではやる気の段階にいると思うようにしていても、感情が抵抗の段階にとどまっていて、自分が誠実に振る舞うことが難しいのです。
シンシア D.スコット博士
シンシア D.スコット博士
早勢:
全社規模の変革において、このTransition Curve™の考え方を全社員が共有しておくことで得られるメリットや強みは何でしょうか。
スコット博士:
マネジメントは変革の過程で人がたどるTransition Curve™上のネガティブな面の対処方法を学ぶことができます。また従業員はTransition Curve™を理解し、このカーブを乗り越えるスキルを実践してみることで、自身が変革をどのように経験しているかを客観的に捉え、自身と他者がTransition Curve™の段階を経ていくために何をしなければならないか、どのような助けが必要かを知ることができます。
早勢:
Transition Curve™をたどっていくうえで人が恐れや不安の気持ちをきちんと認識する、表明するということが大事だとおっしゃっています。これはそう容易ではないと思いますが。
スコット博士:
自分の弱さの感情を正直に出すことは実践することから体得することができます。一つの方法は自身が新しい方法を試している段階で、それが確実にうまくいくかどうかはわからないということをはっきりと表明することです。
このことを先に述べることで、新しい行動を試したり、リスクをとってやろうとする意志を表明するのです。
本当の気持ちを口にしてみることです。例えば変化に直面し少し気持ちが混乱していること、どのように対処して良いか不安なこと、気持ちが動揺していて驚いていることなどから始めてみることは良いかもしれません。
早勢:
組織の中で変化に直面している人たちがTransition Curve™を共通言語として理解し、変革を乗り越える術を手にしていることは、抵抗の理由や恐れの気持ちを口に出してもいいのだ、という安全な環境を作り出すことにもつながります。抵抗の理由や恐れの気持ちを口に出すことができてはじめて、人は前に進んでいくエネルギーが湧いてくるものですね。
早勢弘一とシンシア D.スコット博士

関連リンク


変革がうまくいかない理由として、
スコット博士は以下の5点を挙げています。

  • 組織変革で、人の心理面を考慮していない
  • 変革の目的が共有されていない
  • 権限を持つリーダーのコミットメントが欠如している
  • 変革を可能にする恊働による働き方が重要視されない
  • そこにいる人たちが自分たちがどのように変わったらよいかが分からない

変化に直面する人たちが置き去りにされ、なおかつ、変化に対する適切なリーダーシップが発揮されていない場合、変革がうまくいかない可能性があるということです。

ワンアソシエイツは、スコット博士が開発したプログラムをベースに、変化に直面するすべての人たちと、変革をリードするマネジャーや現場のリーダーたちを支援するプログラムをご提供しています。

ワンアソシエイツが提供する
人と組織の変化対応力を高めるプログラム

変化に強い個の育成
変化に強い個の育成
「マスタリングチェンジ:変化適応力の向上」

現在自分がTransition Curve™のどこにいるのかを知り、次のフェーズに進むためにはどうしたら良いかの示唆を得るプログラムです。
職場において大きな変化を経験している人、あるいはこれから直面するであろう人たちに役に立つプログラムです。

組織変革のリード
組織変革のリード
「チェンジリーダーシップ」

変革を推進するマネジメントや現場のリーダーたちが、変革を成功に導くために果たすべき役割に焦点を当てています。 5つのレンズのフレームワークを使い、変革リードの取り組みを計画し、実行できるようにするプログラムです。