リーダーの覚悟

リーダーの覚悟

リーダーは兎角ジレンマに陥ることが常だ。ジレンマを抱えるとは一方を取れば一方が成り立たず、板挟みになることを言うが、それは物事を進めるためにあらゆる選択肢の中で最良の意思決定を目指すからに他ならない。
「損して得取る」という言葉があるが、事業において戦略的な見込みが甘く、先行投資をしたために倒産の危機に瀕するというケースが見受けられる。また、あまり表には出ないが、データーを重視するあまり、慎重になりすぎてリスクを取れずに意思決定ができないリーダーも見てきた。
「損して得取る」の対訳には ”You must lose a fly to catch a trout” とあるように、まず投資(損)が先に来るが、不確実性を見込む覚悟がなくてはならない。適切な情報を吟味した上での戦略の議論だけではなく、リーダーの覚悟が求められる。
では、この覚悟をより確かなものとするために何ができるのか?戦略のシナリオの良し悪しはもとより、それを実現するためのリーダーシップチームのあり方を見極めることにあるのではないか。それはリーダーシップチームにおける議論やお互いの関わり方によって戦略の実現性に違いが出てくるからだ。
Googleではパフォーマンスの高いチームの共通特性を研究し、一様に優秀な人材の集まりという意味ではほとんど違いは見られなかったが、ハイパフォーマンスチーム5つの特性が報告された。そのトップに挙がったのはチームの中に「心理的安全性」”Psychological Safety”が存在しているということだった。これはお互いがリスクをとって発言し、自分の弱みを見せても無用な駆け引きをしたり、相手を陥れたりすることもなく、何でも率直に話し合える環境があることを意味する。
私自身アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に在籍していた時にはまさにこの経験をした。「個と組織を活かす人材マネジメント革命」の第一章「人事変革日記」に人事制度変革プロジェクトリーダーを務めた際の会議での様子を記した。開始をした当初は議論がもめにもめ、もっとも優秀な現場長の「バカ野郎」発言があった時などは緊迫の度合いが高くなったが、その場を和ませる「お茶をいれてきます」発言が続くなど、お互いを知った上で、その場にいた皆が目的の達成のために自分ができる最善を尽くし、高い意識で臨んでいた。一人のスーパースターがなし得ることよりも、リーダーシップチームの力を結集して物事を進めることで成果を生み出す確率を上げられるのではないか。それはあらゆる議論を経た後の意思決定が成された後に、全てのメンバーが我がごととしてアクションを起こし、プロジェクトを完結してくれたことで実感した。
リーダーは常にリーダーシップチームで真実が語られているかを吟味し、リーダーシップチームの可能性を引き出すことに注力することで自身の覚悟を確かなものにできる。

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James Hayase

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There is no limit to one's search for excellence.