12th ICCE Global Coach Conference 2019 Japan

RWCの最終週に日本青年館にてICCEグローバルコーチカンファレンスが開催されました。

テーマ
Coaching:the Cornerstone of Education, Excellence, Equity, Ethics in Sport

主催:
International Council for Coaching Excellence (ICCE)
独立行政法人日本スポーツ振興センター

日本スポーツ振興センター理事の勝田博士はオープニングで「世界30カ国から450名以上のコーチングに関する専門家が参加されています」と歓迎の言葉を述べ、この会議でヒューマンパフォーマンス並びにチームハイパフォーマンスに関して、意義深く、実践的な知恵が共有されることに期待を寄せた。

参加者の多くはオリンピック、パラリンピックの競技スポーツに携わるコーチたち、その他にコーチングの専門家、学者、リサーチャーが集まりました。

海外でスポーツコーチをしている日本人女性3名の対談は見事でした。
藤木麻祐子さん(アーティステック・スイミング スペイン代表チーム ヘッドコーチ)
藤井裕子さん(柔道 ブラジル男子代表チーム 監督)
佐伯夕利子(サッカー ビジャレアルCF(スペイン)育成部)

スポーツでも女性コーチがとても少なく、日本人女性コーチの活躍が脚光を浴びるのは、今後の取り組みにおいて重要な一歩となりました。ビジネス界でも女性の活躍は重要な意味を持っています。

コーチが一方的に指示命令を下してきたやり方は昔のことになりつつありますが、出席した分科会では”エンパワメント”と言って選手の潜在能力を引き出すことを目的としながらも、そのやり方において選手が主体ではなく、コーチがパワーを握っていると言う現実も紹介され、ビジネス界においても同じようなことが言えるのではないかと実感します。

自分に十分な自信がない時に人は反論を恐れ、権威を使って相手を従わせようとしますが、反論を歓迎し、相手と対話を行い、ともに新しい世界観を導き出せる能力こそコーチには必要だとつくづく実感しました。

最終日の今日はシルクドソレイユのコーチからの講演もあり、パフォーマーの多くはオリンピック選手であり、競技者からアーティストへ見事に転身したこと、その陰にはコーチを始めあらゆる分野の専門家との協働の業があることが紹介されました。

写真はセッションの間で集まる小グループの仲間たちでカナダ、シンガポール、フィンランド、ノルウェー、アメリカからのメンバーでした。
(皆、イェーと叫んだ時の表情は笑顔ですが、手の表現はとてもユニークです。よく見てみてください!)

組織学習における失敗経験の共有

コロンビア大学ビジネススクールシーナ・アイエンガー教授のInformed Intuition 「経験による直感」という言葉はとても私の興味をそそりました。それを養うことで人生の選択の質を上げられるという研究成果を提示しているので、なおさらです。ここでいうInformed Intuition 「経験による直感」 とは直観というニュアンスに近いものです。単なる感情の趣でもなければ、理性的な判断でもなく、自らの選択の結果を検証し、そこからの学びを知識化し、同じ失敗を繰り返さない判断ができる感覚と言えるかもしれません。失敗学の権威である畑村洋太郎先生は失敗の結果を検証し、それを何度も繰り返することで「思考のけもの道」が作られると、分かりやすい例えで語っています。

「経験による直感」を養うにも「思考のけもの道」を作るにあたっても、二人が共通して提唱しているのが、自分が下した判断と結果、そこからの学びを知識化し(具体的な内容はここでは省きますが)書き留めるということです。考えるだけではなく、失敗ノートに書き留める(PC、スマホに打ち込み、クラウドストーレッジに保存する)ことで、見直しが可能になります。

畑村先生は、さらに書き留める際の重要な要点として、その人が何をどう考え、感じ、どんなプロセスでミスを犯したのかを、当事者の立場から見た主観的な言葉で克明に記録することを強調しています。「え、客観的ではないの?」と思いたくなりますが、失敗経験の知識化が自らの真の振り返りの結果として、他の人のラーニングとして活きるのは、自分の立場に置き換えてそれを実感できたときであり、客観的な事実の羅列は心に響かないと言われれば、なるほどと頷けます。

組織学習の一環として、マネジャー向け、社員向けに、それぞれの失敗経験から学ぶプログラム作成を手がけた経験があります。失敗を語ってくれるベテランたちと相対する中で、誰しもが経験する失敗とは言え、自らの失敗経験を共有してくれるリーダーの存在はとても尊いと感じます。失敗経験からの知識化を本人の中に留めることなく、自己開示をすることで、その立場に就く他の人の成長や組織の発展につなげていくことができるのです。

プロジェクトA: VUCA Worldでは予測できるという傲慢さを捨てる(Let go of predictive hubris)

現場で成果を出し、マネジメントに優れている営業拠点長たちが日本全国から集められた。彼らとともに、半年間に渡ってリーダーとしての意識変革に取り組んだ。

事業について、組織のあり方について、人づくりについて、テーマや具体的な事象をもとに、全体と小グループに分かれてダイアログ(対話)を重ねた。毎回彼らが現場で取り組むアクションを明らかにし、過去の踏襲、成功体験を捨てて、ゼロベースで取り組んでもらった。

例えば、グローバルの最優先事項に挙げられている働き方改革において、当初は「時短をすることはできるが、生産性は下がる」という二者択一の考えが見え隠れしていた。しかし、「本当にそうなのか」という自問自答から始まり、部下を巻き込んで試行錯誤を繰り返し、仕事のやり方を変更し、週2回のノー残業デーを実施して、従業員の経験価値、顧客の経験価値をあげる驚きの成果を導き出した。まさしく彼らの意識が変わったことにより、もたらされた成果だ。

6ヶ月後に彼らから聞いた言葉は「過去の成功体験に基づいて予測ができると思っていたが、時代や社会からの要請を考えると、予測できるということは傲慢だった」「人を教えることはできても、育てることは難しい」など、現実の難しさと自分が現在持っている世界観の限界を直視し、ジレンマに向き合い自身の意識改革に継続して挑戦する意志を感じさせてくれた。

一人一人が実体験に基づいて、苦悩やそこから見えてきたこと、気づきを語ったが、現場で取り組んでいる様子が目に浮かぶようだった。

時代の変化は予測し難い。だからこそ、起きている事象や全体に意識を向け、感覚を研ぎ澄ませて、暗黙知と新たな知覚情報を組みわせて情勢を判断し、素早く行動を起こしていく、そこから学び、次の行動に繋げていくことをお互いに確認した。わたし自身も彼らとの歩みから多くのことを学んだ。一人一人に敬意を表したい。

リーダーの覚悟

リーダーの覚悟

リーダーは兎角ジレンマに陥ることが常だ。ジレンマを抱えるとは一方を取れば一方が成り立たず、板挟みになることを言うが、それは物事を進めるためにあらゆる選択肢の中で最良の意思決定を目指すからに他ならない。
「損して得取る」という言葉があるが、事業において戦略的な見込みが甘く、先行投資をしたために倒産の危機に瀕するというケースが見受けられる。また、あまり表には出ないが、データーを重視するあまり、慎重になりすぎてリスクを取れずに意思決定ができないリーダーも見てきた。
「損して得取る」の対訳には ”You must lose a fly to catch a trout” とあるように、まず投資(損)が先に来るが、不確実性を見込む覚悟がなくてはならない。適切な情報を吟味した上での戦略の議論だけではなく、リーダーの覚悟が求められる。
では、この覚悟をより確かなものとするために何ができるのか?戦略のシナリオの良し悪しはもとより、それを実現するためのリーダーシップチームのあり方を見極めることにあるのではないか。それはリーダーシップチームにおける議論やお互いの関わり方によって戦略の実現性に違いが出てくるからだ。
Googleではパフォーマンスの高いチームの共通特性を研究し、一様に優秀な人材の集まりという意味ではほとんど違いは見られなかったが、ハイパフォーマンスチーム5つの特性が報告された。そのトップに挙がったのはチームの中に「心理的安全性」”Psychological Safety”が存在しているということだった。これはお互いがリスクをとって発言し、自分の弱みを見せても無用な駆け引きをしたり、相手を陥れたりすることもなく、何でも率直に話し合える環境があることを意味する。
私自身アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に在籍していた時にはまさにこの経験をした。「個と組織を活かす人材マネジメント革命」の第一章「人事変革日記」に人事制度変革プロジェクトリーダーを務めた際の会議での様子を記した。開始をした当初は議論がもめにもめ、もっとも優秀な現場長の「バカ野郎」発言があった時などは緊迫の度合いが高くなったが、その場を和ませる「お茶をいれてきます」発言が続くなど、お互いを知った上で、その場にいた皆が目的の達成のために自分ができる最善を尽くし、高い意識で臨んでいた。一人のスーパースターがなし得ることよりも、リーダーシップチームの力を結集して物事を進めることで成果を生み出す確率を上げられるのではないか。それはあらゆる議論を経た後の意思決定が成された後に、全てのメンバーが我がごととしてアクションを起こし、プロジェクトを完結してくれたことで実感した。
リーダーは常にリーダーシップチームで真実が語られているかを吟味し、リーダーシップチームの可能性を引き出すことに注力することで自身の覚悟を確かなものにできる。

リーダーシップ 3つの原則

ラグビーの理論と実践は実ビジネスの持続的成長、組織作り、人の成長に大いに役立つ。

EDDIE JONES’ ENSEMBLE RUGBY powered by adidas
“エディ ジョーンズが教えるコーチ向けスペシャルセミナー”に参加し、彼がコーチとして拠り所としているリーダーシップの原則を体感した。

彼が座学で語るラグビー理論は明快であり、フィールドで選手たちを実指導しながらフィードバックを出す様はまさに2015 Rugby World Cup で見たJapan Wayを体現するものであった。

炎天下の中でも指導をする全く衰えを知らない強靭な体力、適切なフィードバックを出すための原理原則と人を見抜く眼識、選手を鼓舞し士気を高めていくにあたり一貫した態度と言動、折れない精神、どれ一つをとっても超一流のリーダーが体得している特質を垣間見た。

彼が新しいチームのコーチとして就任した後、選手たちに自分の指導方法を理解させ、浸透させるために指導者として心がけていることを尋ねてみた。

彼は最初にタレントの見極めをあげた。(本人のポテンシャルを含め)どんなタレントがいるかによってチームが強くなっていくスピードには違いがあるからだと言う。それはエクセレントカンパニー飛躍の法則でJim Collinsが言うように「最初に誰をバスに乗せるかが最も重要である」と同じ原則である。
彼はまた自分の指導方法を浸透させるためにさらに2つの原則として以下を提示した。
1) Clarity: 勝つためのゲームプランの明瞭さ
2) Cohesion: 一致団結して協働するチーム

ゲームに臨むにあたり、システムを理解させた上で、現実に起きるカオスに柔軟に対応させるため常に選手に考えさせる訓練を徹底していた。これは適切なフィードバックによるコーチング手法そのものであった。またEddieが言う“Cohesion”はまさにOneAssociatesがDr. Cynthia Scottと連携して取り組んでいるネットワーク型リーダーシップを具現化する新しい協働の行動様式作りであり、組織変革プロジェクトにおける肝と一致していた。

「声がけ」がつなぐ人と人

今年も東京マラソンが開催されましたね。11回目の今年はコースが変わり東京駅がゴールとなったことや、男女ともに国内最高記録が出たことなどで話題になりました。

今年は5キロ地点で給水のボランティアをさせていただいたのですが、ランナーの皆さんとの触れ合いが本当に楽しく、感動的でした。5キロ地点ということもあってか、海外からの招待選手や国内の有名な選手たちはあっという間に駆け抜けて行きました。その後、たくさんの市民ランナーの皆さんがやってきて、コップに入った水を取っていくわけですが、その際に「がんばってください!」と声をかける「ありがとう!」と笑顔で返してくれるのです。水は取らないけれど、わざわざ私たちボランティアに向かって「ありがとうございます」と笑顔で手を振ってくれるランナーもいました。そんなやり取りが本当に嬉しかった。

5キロ地点の通過タイムリミットが気になる頃には、やってくる市民ランナーの中には辛そうな方々もちらほら見受けられるようになってきます。沿道で応援している人もボランティアもみなが声を張り上げて「がんばれー!!」「がんばってください!!」と応援します。水もこの頃には手渡しですが、「がんばってください」と声をかけて渡すと、目で「うん」と返してくれるランナーもいました。

終わってみると、喉が痛い。それぐらい夢中になって応援していました。

仕事の中でも、こんな風に誰かを一生懸命応援したとしたら、それは相手に力を与えることができるのではないか、そして相手がそれに応えてくれたとしたら、どんなに嬉しいだろうと改めて思いました。頑張っている人がいたら素直に声をかけられるチーム、声をかけてもらったら「ありがとう」が自然に出てくるチーム。そんなチームを作るお手伝いが少しでもできたらと思います。

チームビルディングについて詳しく知りたい方はこちらへ

やる気をださせる:誰でもこい農家

中国の農村部から出稼ぎの人が結構来ているようだ。受け入れ側の農家には人を選ばない。誰でもいいから連れてきてくれという方もいるらしい。ここでは「誰でもこい農家」と命名したい。その主人は労働者たちのモチベーションを上げるだけでなく、他よりも余計に賃金を払うという。とにかく怒らない、やらせてみる、それで彼らはめちゃめちゃ働くという。収穫後は温泉に連れていく、週末も経費を切り詰めながら楽しい思いをさせるそうだ。

実は「誰でもこい農家」のことは中国に帰った労働者たちの仲間内で評判になっているらしい。そこで、ある時「誰でもこい農家」のところへカツラをかぶった中国人が採用面接に来たそうだ。理由を聞いたところ、「少しでも容姿をよく見せれば採用してもらえるのではないかと思った」とのことだった。それを聞いた主人は「面白い!」と言って、もちろん採用した。そんな話を友人から聞いた。

実に面白い。「誰でもこい農家」は人のやる気をださせる。

人的資本への投資

会社の固定資産である車や機械は毎年資産価値が目減りする。計上された無形固定資産の扱いについては日本と国際会計基準では違いがあり、ここでは割愛する。

現実の世界で研究開発などによる技術やノウハウはたとえ特許などで守られていたとしても、競合の台頭などにより時代遅れになることがある。では、人のコンピタンスはどうだろうか。グローバル社会において人が同じ知識、同じ能力で何年通用するだろうか。

以前インタビューした、旭山動物園を日本一にした元園長の小菅さんは語った。私が退職してもここで働く人が「常に新しいこと、新しいチャレンジに向き合っていく」ことで旭山動物園は発展していく。

人の価値は資質や能力を磨くことで上げていくことができる。

心に刻まれた言葉

6年ほど前に、ある農業シンポジウムで知り合ったインドネシア青年商工会議所の議長の招きで彼が経営するUBUD Sari Health Resortへ行ったことがある。空港から迎えの車で走ること2時間ほど。街から離れてどんどん人里離れた山へ向かっていく。着くとそこは皆が想像するような海辺のリゾートホテルとは全く違い、うっそうと草が茂るビレッジの中にある簡素な宿泊施設だった。宿泊客はドイツ、カナダ、オーストラリアからきた年配者たちだった。彼らはリトリートにくる常連たちで、朝はベジタリアンディッシュを取りながら会話が弾んだ。

施設の真ん中には石碑があり、そこにはUBUD Sari創設者の言葉が刻まれていた。それは「私の夢は」で始まり、「与えることで貧しくなるものはいない」で結ばれていた。読んだ時に何かが心に残った。それ以来、時折この言葉を思い出す。

Be here and now

今朝、玄関先に錆びた小さなネジが落ちていた。拾い上げ、一体何のネジだろうと思いながら、あたりを見回した。それは門の扉についている部品を留めるネジの一つだった。長年そのまま使っていたので、門を動かすたびに振動でネジが少しずつ緩み、とれてしまったのだ。門はいつものように開閉することが当たり前と思っていたので、日頃の手入れをしていなかった。

余裕のない時には落ちているネジさえも見逃してしまっていたに違いない。今目の前に起きている小さな変化に気を留めること、今に意識を向けることで、自身のやるべきこと、向かうべき方向性へのメッセージを感じ取ることができる。