プロジェクトA: VUCA Worldでは予測できるという傲慢さを捨てる(Let go of predictive hubris)

現場で成果を出し、マネジメントに優れている営業拠点長たちが日本全国から集められた。彼らとともに、半年間に渡ってリーダーとしての意識変革に取り組んだ。

事業について、組織のあり方について、人づくりについて、テーマや具体的な事象をもとに、全体と小グループに分かれてダイアログ(対話)を重ねた。毎回彼らが現場で取り組むアクションを明らかにし、過去の踏襲、成功体験を捨てて、ゼロベースで取り組んでもらった。

例えば、グローバルの最優先事項に挙げられている働き方改革において、当初は「時短をすることはできるが、生産性は下がる」という二者択一の考えが見え隠れしていた。しかし、「本当にそうなのか」という自問自答から始まり、部下を巻き込んで試行錯誤を繰り返し、仕事のやり方を変更し、週2回のノー残業デーを実施して、従業員の経験価値、顧客の経験価値をあげる驚きの成果を導き出した。まさしく彼らの意識が変わったことにより、もたらされた成果だ。

6ヶ月後に彼らから聞いた言葉は「過去の成功体験に基づいて予測ができると思っていたが、時代や社会からの要請を考えると、予測できるということは傲慢だった」「人を教えることはできても、育てることは難しい」など、現実の難しさと自分が現在持っている世界観の限界を直視し、ジレンマに向き合い自身の意識改革に継続して挑戦する意志を感じさせてくれた。

一人一人が実体験に基づいて、苦悩やそこから見えてきたこと、気づきを語ったが、現場で取り組んでいる様子が目に浮かぶようだった。

時代の変化は予測し難い。だからこそ、起きている事象や全体に意識を向け、感覚を研ぎ澄ませて、暗黙知と新たな知覚情報を組みわせて情勢を判断し、素早く行動を起こしていく、そこから学び、次の行動に繋げていくことをお互いに確認した。わたし自身も彼らとの歩みから多くのことを学んだ。一人一人に敬意を表したい。

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James Hayase

There is no limit to one's search for excellence.