やってみなけりゃ分からない

2016年にスタートした一年間の実践型リーダーシッププログラムが終了した。

自分の強い意志を持つが聞く耳を持たない者、論理的に話しを展開するが、人の心をつかめない者、なかなか議論に入り込めない者、自分の経験を人に教えようとする者など、当初の話し合いは全く噛み合わなかった。

このメンバーがオフサイトのキャンプ、現場でのプロジェクトの実践、自己洞察、グループコーチングを経て、成長の軌跡と現場での改善活動に関する最終成果を発表した。

その場には昨年このプログラムを終了したリーダーたちが出席し、率直かつ思いやりのあるフィードバックをだした。

今年のメンバーのみで最後のブリーフィングをしたが、お互いから多くを学んだというコメントが多く、心理的な距離がぐんと近くなっている。

一年前の空をつかむような議論が懐かしい。人が協働関係を作るためには、自分を超えたより大きな目標の意味を感じ、それを共有し、腹を割って話し合っていくこと、ともにチャレンジしていく行動と経験が有効だ。

やる気をださせる:誰でもこい農家

中国の農村部から出稼ぎの人が結構来ているようだ。受け入れ側の農家には人を選ばない。誰でもいいから連れてきてくれという方もいるらしい。ここでは「誰でもこい農家」と命名したい。その主人は労働者たちのモチベーションを上げるだけでなく、他よりも余計に賃金を払うという。とにかく怒らない、やらせてみる、それで彼らはめちゃめちゃ働くという。収穫後は温泉に連れていく、週末も経費を切り詰めながら楽しい思いをさせるそうだ。

実は「誰でもこい農家」のことは中国に帰った労働者たちの仲間内で評判になっているらしい。そこで、ある時「誰でもこい農家」のところへカツラをかぶった中国人が採用面接に来たそうだ。理由を聞いたところ、「少しでも容姿をよく見せれば採用してもらえるのではないかと思った」とのことだった。それを聞いた主人は「面白い!」と言って、もちろん採用した。そんな話を友人から聞いた。

実に面白い。「誰でもこい農家」は人のやる気をださせる。

世界基準の規範

知り合いの企業幹部とともにスポーツボランティア説明会に参加。「ここに集まる皆さんには共通の行動規範について順守をお願いします」キビキビと笑顔で進行していく。話は単なる説明ではなく、健常者も障害者も皆一丸となって、それぞれにできることをやっていくという精神にみなぎっている。ともに感銘を受けながら、帰りは都心から新宿まで5キロ弱の道のりを歩くことにした。

歩きながら、今日の説明会にはとても活力があり、良い刺激を受けたこと、そこからラグビーの名場面、スポーツ解説者が語る熱弁の数々、世界の強豪とあたる日本選手の活躍ぶりについて語り合った。一つの国を超えて世界に感動を与えていることの凄さ。それは何も単に勝つことから生まれているのではない。プレーにおける技量の高さはもちろんのこと、ギリギリのところで自分をコントロールし、プレーの中で規範を示す選手の強さにあると語る彼の話しに納得しながら、話が盛り上がった。ラグビーは他の競技と違い、違反の前にレフリーが警告をだす。それを特定の個人であったり、キャプテンに伝えることがある。違反者を取り締まるのが目的ではなく、規範を守ることに趣が置かれているからだろう。

選手がフィールドで精一杯に戦っている姿を想像しながら、我々ボランティアも規範を持って世界中から訪れる子どもからお年寄りまで、心をこめてお迎えしたいと思う。心に残った言葉、世界標準に則り、世界一のボランティアを目指していきましょう!やりがいがあるではないか。

ランニングとダイアログ

昨年ジョギングやランニングをしている人たちの仲間入りをしてハーフマラソンを完走した。定期的に走るようになると体が走ることを覚え、仕事を仕上げて走ろうという意識が芽生えた。一昨年の12月に15年間我が家で育った犬が世を去ってからは一緒に散歩にいくこともなくなっていたので、良い機会となっている。
一人でも走るが、仲間と走るときはより楽しい。特段タイムを競うわけでもなく、記録を伸ばすためでもない。走りながらただその日に起こった、たわいないことや常々思っていることなどを分かち合う。相手の話を聞いて、なるほどと思うこともあれば、自分の考えていることを話しながら、相手との掛け合いの中で未完成だと思うこともある。身体を鍛えながら、思考や意識を研ぎ澄ませることができる、なんと贅沢な時間であろうか。