変化に向き合う

人間は誕生し、自立し、家族や企業、社会に貢献し、ついには死を迎える存在であることを思うと、幸せは本来その人が持つ潜在的な能力をいかに育て、開花させ、充実した日々から老いへの移行をいかに過ごすか、まだ見ていない、見えない未来に向かって、しなやかに変化し適応していくことができるかどうかにかかっているのだろうか。変化に向き合うとは生きることそのものである。

誰もが明るい将来を望み、その恩恵にあずかりたいと思う。現実には様々な興亡の中で誰もその時代や環境の変化から逃れることはできない。戦後日本における産業の変遷はそのニーズの反映として鉄鋼、自動車、電化製品、コンピューター、半導体、コンサルティング、エンターテインメントと重さがトンからゼログラムへの変化を遂げている。今や、人間の五感である見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れる、に訴えかけるものはもとより、体験から生まれる経験価値そのものを多くの人が求め、身体能力を高めるスポーツ、知識を身につける教育産業、美を追求する美容産業の伸びも著しい。産業別就業人口の推移、求められる働き方も変わってきている。

こうした変化の中で人間が生きることにとって欠かすことのできない地球環境、農業、食の安全、健康や生活習慣、治療から予防医療、そしてやがて迎える死に対して尊厳をもって向き合うホスピスにも注目が集まっている。

病気や怪我、身近な人や動物の死にも直面し、親や兄弟、家族、仲間のあり方に触れ、職業人としてはたかが30年程度の経験ではあるが、企業変革や企業の存亡を目の当たりにし、経営陣のあり方に触れ、従業員の心理面や行動様式の変化を見てきた。

激しい時代の変化を乗り越えている「人」の際立つ特質を3つあげよう。

  • 変化からくる不安や恐れの感情を自然なこととして受け入れている
  • 人との関わりを大切にし、情報を得て、変化に向き合う勇気を作り出している
  • 自らの意思でリスクをとって新たな環境で挑戦している

変化に対する理解を深め、必要なスキルを身に付けていくことで、変化対応の力を向上させることができる。

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James Hayase

There is no limit to one's search for excellence.